当相談室の心理療法について
心理療法には様々な流派があり、何十何百もの手法があります。
最新の臨床心理学では、1つの手法や流派に限定せず、複数を用いる統合的なアプローチが推奨されています。
当相談室でおこなう心理療法は、統合的なアプローチです。
具体的な問題解決や症状の軽減に、認知行動療法、解決志向ブリーフセラピー、弁証法的行動療法などを用います。ストレスマネージメントやアサーティブトレーニングなども含みます。
自己成長や自己実現、自分らしさや生き方の探求に、アートセラピー、プロセスワーク(プロセス指向心理学)、ゲシュタルト療法、フォーカシング、ハコミセラピー、などを用います。 必要に応じて催眠・イメージ療法やチャイルドワークをおこないます。
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セラピストが、クライアントの悩みや問題に直接的な答えを与えることは、ほとんどありません。
その人にとっての「最良の答え」は常にその人から生み出させるものであり、
セラピストの役割は、それを引き出すことだからです。
けれども、答えを与えないことは、必要な専門的情報を与えないこととは全く違います。
具体的な症状(うつやパニック障害など)があれば、それに関する知識や情報を提供し、
悪循環のパターンや問題行動があれば、そのメカニズムや回復のプロセスを説明する必要があります。
不利益な恋愛のパターンを変えたいクライアントには、共依存についての知識が役に立つかもしれません。
クライアントに必要な専門的知識を提供することも、セラピストの重要な役割の1つとされています。
カウンセリングを受けたことがあるが、カウンセラーはただ話を聞くだけだった、という話を聞くことがあります。
確かに、人は親身に話を聞いてもらうことで癒され、心が楽になり、人に話すことで問題が整理され、それまで見えてなかったことが見えてくる、ということもあります。
それで充分な場合もありますが、それでは足りない場合もあるということです。
心のメカニズムについて学ぶことは、生きていく上でとても役に立つことです。
具体的で直接的な自分自身に関わることで学ぶと、理解が深く、生涯それを役立てることができます。
何らかの症状がある場合、それを生物的、心理的、社会的の3つ側面
バイオ・サイコ・ソーシャル・モデルから捉えてアプローチすることが大切です。
例えばうつ病の場合、生物的側面(バイオ)に働きかけるのが、
精神科や心療内科で行う薬物治療(抗うつ薬の処方)などです。
心理療法は、心理的側面(サイコ)に焦点をあて、うつに陥りやすい考え方や行動のパターンを改善し、
心理的ストレスの軽減に取り組みます。
社会的側面(ソーシャル)では、社会復帰の支援、家族のサポート、自助グループなどの環境整備が必要であり、
ソーシャルワーカーや企業のメンタルヘルス担当者が、それらに関するアドバイスやサポートをする場合があります。
状態が何年も改善しない場合、大抵は、この3つのアプローチのバランスが悪く、
どれかに頼り過ぎたり、どれかが足りなさ過ぎたりしています。
何年薬を飲んでいても改善しない時には、多くの場合、心理面にアプローチする心理療法が有効です。
逆に、症状が重すぎる時には、薬物治療などである程度落ちついた状態になってからでないと、心理療法はかえって負担になります。
また、社会復帰する際には、その人の社会的スキルとその人を取り巻く環境を見極めながら、適切な段階を踏まなければ、失敗して更に状態は悪化してしまいます。
人のサポートには、多角的で総合的な援助が必要です。
そこでセラピストは、必要に応じて医療機関や福祉機関と連携することはもちろんのこと、
グループやワークショップへの参加を勧めたりもします。